親の介護が必要になる前に今から考えておきたい「相続」と「財産」のこと

目次
はじめに
親が元気なうちは、「介護」や「相続」の話はまだ先のことと思ってしまいがちです。しかし、いざというときに慌てたり、家族の間でトラブルになってしまったりすることも少なくありません。
だからこそ、元気なうちに、しっかりと話し合いをしておくことが大切です。
今回は、介護と相続に関する備えについて、基本的なポイントをお伝えします。
親の介護が必要になるタイミングとは?
厚生労働省の「令和4年 介護保険事業状況報告」によると、第一号被保険者に占める65〜74歳の要介護認定率は約10%ですが、75歳を超えるとその割合は90%近くにまで増えます。
加齢に伴い認知症の発症率も高くなるため、介護が必要となる人は年齢とともに急増します。
たとえば、東京都世田谷区では、2023年時点で高齢者(65歳以上)が人口の約26%を占めており、都内でも高い高齢化率です。
独居高齢者の増加も報告されており、身近な問題として介護への備えがますます重要になっています。
介護や相続をめぐるトラブルを防ぐには?
介護や相続の場面では、以下のような「家族間の認識のズレ」が原因でトラブルになることがあります。
- 親が元気なうちに準備をしていない
- 介護中の家族の負担について意見がまとまらない
- 相続の際、介護の貢献度に対する配慮が不足している
大切なのは、「話し合いを重ねること」。
一歩ずつ、家族全員が納得できるかたちを探っていくことが、トラブルの回避につながります。
1.まずは「親の思い」をしっかり聞く
介護や相続について考えるうえで、最も大切なのは「親の気持ちを尊重すること」です。
突然の認知症や脳卒中などで意思表示が難しくなる前に、どんな介護を望んでいるか、相続についてどう考えているか、できるだけ具体的に確認しておきましょう。
「まだ早いかな?」と思うタイミングでも、きっかけさえあれば親御さんのほうから話してくれることもあります。家族みんなで自然に話せる環境づくりが大切です。
2.介護を担う人と、役割分担を決めておく
介護が必要になったときに、誰がどのように関わるのかを家族で事前に相談しておきましょう。施設入所や在宅介護の方針、費用負担の分担なども含めて話し合っておくと安心です。
また、相続においては「介護をした人が多くもらえる」というわけではありません。介護を担う家族にどう配慮するか、遺産分割の話し合いとセットで決めておくことも重要です。
3.親の想いを「遺言書」にまとめておく
親が元気なうちに、介護や相続に対する想いを「遺言書」にしておくと、相続時の手続きがスムーズになり、家族間の揉めごとを防ぐ効果もあります。
特に、「介護をしてくれた子に多めに渡したい」といった希望がある場合は、法的効力のある「公正証書遺言」などで意思を明確にしておくのがおすすめです。
4.相続税の対策も検討しておく
相続税はすべての家庭に発生するわけではありませんが、不動産や預貯金をある程度お持ちのご家庭では、課税対象になる可能性があります。
たとえば、世田谷区では地価の上昇が続いており、2025年時点での坪単価平均は約276万円とも言われています。
これにより、資産評価額が上がり、相続税の対象になるケースも増えています。
生前にできる対策としては、以下のような方法があります:
- 年間110万円の贈与税基礎控除を活用した生前贈与
- 不動産の持分移転による財産評価のコントロール
専門家と相談しながら、早めに対策を検討しましょう。
まとめ:「介護」や「相続」は、早めの準備がカギ
今回は、介護や相続に関する基本的な備えについてご紹介しました。
最も大切なのは「親の思いに寄り添うこと」。
そのうえで、家族が納得して将来に備えられるよう、しっかりと準備を進めておきましょう。
「何から手をつければよいか分からない」「話し合いのきっかけがつかめない」などのお悩みがある方は、世田谷区の相続の仲人「相続の仲人・YORISOU」までお気軽にご相談ください。

- 監修者
- 代表社員 小野 圭太
- 司法書士法人・行政書士法人エムコミュー
- メッセージ:中長期且つ総合的な観点から最適なご提案をして、お客様に喜ばれることがモットーです。
趣味:フットサル、TOEIC