公正証書遺言

相続において、遺言書を作成することは、遺産分割をスムーズに進め、遺族間でのトラブルを防ぐための重要な手段です。

遺言書にはいくつかの種類があり、その中でも信頼性と法的安定性が高いとされているのが公正証書遺言です。公正証書遺言は、専門家である公証人が作成に関与し、遺言者の意思を確実に法的に反映させるための方法です。

今回は、公正証書遺言の特徴や作成時の手続き、メリットとデメリットについて詳しく解説します!

公正証書遺言とは?

公正証書遺言は、遺言者が公証役場で公証人の立ち会いのもとで作成する遺言書です。公証人というのは法律の専門家です。遺言者の意思が適切に法的に反映されるように、遺言の内容を確認します。その後、遺言者の口述内容に基づき公証人が遺言書を作成します。遺言者と証人は、その内容を確認したうえで正式な遺言書として完成します。

ですから、公正証書遺言は、他の遺言書の形式と比べて信頼性が非常に高いのです。結果的に法的トラブルや無効となるリスクが低くなるのが特徴です。きちんとした手順を踏んで公証役場で作成された遺言書は、厳密な手続きに基づいて保管されるため、相続人間での争いが発生しにくくなります。

公正証書遺言の作成手続き

公正証書遺言の作成には、公証役場に出向いて公証人の立ち会いのもとで行います。作成の手続きは以下のように進められます。一緒に見てみましょう。

1. 必要な書類と準備
公正証書遺言を作成するには、いくつかの書類が必要です。以下は、一般的に求められる書類の一例です。

  •  本人確認書類:本人であることを確認するための運転免許証やパスポートなど。
  •  財産に関する資料:預貯金、不動産、株式などの財産の内容を証明する書類を提出します。
  •  相続人に関する資料:確認するために、戸籍謄本などの書類を提出します。

また、公正証書遺言作成には証人が2名必要になります。遺言者の口述内容を確認し、遺言書作成に立ち会います。証人は、利害関係のない成人でなければならず、相続人やその配偶者、近親者はなれません。証人が見つからない場合は、公証役場で依頼することも可能です。

2. 公証人との面談と遺言内容の確認
遺言者は、面談を行い、遺言書に記載する内容を口述します。そして公証人は、遺言者の意思に基づき、法律に従って適切な表現で遺言書を作成します。遺言者は内容を確認し、公証人の説明を受けながら、記載内容に問題がないことを確認します。

この手続きによって、遺言内容が法的に有効かつ明確であることが保障され、後々のトラブルを防ぐことができます。

3. 遺言書の完成と保管
遺言書の内容確定後、遺言者と証人が署名捺印を行います。そして公証人がその遺言書を保管します。また、遺言書の原本は公証役場に保管され、遺言者や相続人には謄本(コピー)が交付されます。

初めてのことが多いこのお手続きに不安な気持ちを感じるかもしれません。

そんなときは、私たち 相続の仲人・YORISOU にお手伝いさせてください。

公正証書遺言のメリット

1. 法的安定性が高い
公証人という法律の専門家が作成するため、法的に有効かつ安全です。かつ、内容に不備がなく、遺言者の意思が正確に反映されるため、後から無効になるリスクがほとんどありません。これにより、相続人間での争いを未然に防ぐことができます。

2. 検認が不要
他の形式の遺言書(自筆証書遺言など)は、遺言者が亡くなった後、家庭裁判所での「検認」が必要ですが、公正証書遺言は検認の手続きが不要です。そのため遺産分割を速やかに進められるメリットがあります。

3. 紛失や改ざんのリスクがない
公正証書遺言は、公証役場に原本が保管されます。ですから、遺言書が紛失したり、第三者によって改ざんされたりするリスクがありません。例えば、相続人が遺言書を見つけられないという問題や、他の相続人が遺言書を隠してしまうといったトラブルを防ぐことができます。

4. 作成がスムーズで安心
公証人がサポートしてくれるため、遺言者が一人で悩む必要がなく、スムーズに進められます。また、法律に詳しくない遺言者でも、安心して遺言書を作成することができます。結果として、内容に間違いや不備が生じることも防げます。

公正証書遺言のデメリット

1. 費用がかかります
公正証書遺言を作成するには、公証人への手数料や証人への謝礼などの費用がかかります。

その費用は、遺言書の内容や遺産の規模に応じて変わるため、自筆証書遺言に比べてコストが高くなる点がデメリットです。

2. 証人の確保が必要です
作成する際には、証人が2名必要ですが、利害関係のない第三者でなければならず、相続人やその配偶者、近親者は証人になることができません。もし、証人がいない場合は、公証役場に依頼して手配することも可能ですが、その場合は別途費用がかかります。

3. 公証役場に出向く必要があります
公正証書遺言を作成するためには、遺言者が公証役場に出向いて手続きを行う必要があります。これは、体調が悪い場合や遠方に住んでいる場合には、少し不便に感じるかもしれません。高齢になると体調の悪い日も多くなる可能性があります。ですから、あなたの希望通りの準備が出来る時に行動するのが良いかもしれません。

まとめ

公正証書遺言は、法的に安定した遺言書の形式であり、遺言者の意思を確実に遺産分割に反映させるために最も信頼性が高い方法です。

公証人という専門家の関与により、内容が法的に不備なく作成されます。ですから、遺言書が紛失・改ざんされるリスクもありません。そのかわり、費用や手続きの手間が掛かります。それでも相続人間でのトラブルを未然に防ぎ、安心して財産を分けることができるメリットはとても大きいのです。


遺言書を作成する際には、あなたの状況や希望に合った形式を選ぶことがとても大切です。中でも公正証書遺言は、確実に遺言内容を守ってもらいたい場合に最適な選択肢となるでしょう。

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監修者
不動産事業部
株式会社五右衛門
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