生前贈与とは?相続対策におけるメリットと注意点

相続を考える際、多くの方が気にするのが「相続税」の負担です。

特に財産が一定以上ある場合は、相続税対策として「生前贈与」の活用が注目されています。

ここでは生前贈与の基本からメリット・注意点、実際の活用方法までを詳しく解説しましょう。

 

生前贈与とは?

生前贈与とは、被相続人となる予定の人(贈与者)が、亡くなる前に財産を家族などの特定の人(受贈者)に譲り渡す行為です。贈与は生前に行うものですので、「相続」とは別の制度になりますが、税制上は密接に関係しているため、計画的な活用が重要になります。

 

生前贈与の主なメリット

1.相続税の節税につながる

贈与税の年間非課税枠(基礎控除)は、受贈者一人あたり110万円までです。ですから、この範囲内で毎年贈与を繰り返すことで、将来の相続財産を少しずつ減らし、結果的に相続税の負担を軽くできることになります。

2.特定の人に確実に財産を渡せる

遺言とは異なり、生前贈与はすぐに効力を発揮します。要するに、自分が望むタイミングで、望む人に、財産を確実に渡すことができます。特に、相続人以外の孫や内縁の配偶者などに財産を渡したい場合にはとても有効です。

3.財産の使い道を見届けられる

贈与された側がその財産をどのように活用するかを見届けられるのも大きなメリットです。例えば、教育資金や住宅取得資金など、目的に応じて贈与することで有効活用が図れます。

 

生前贈与の主な制度と特例

以下のような贈与税の特例を活用することで、より効果的に節税が可能になります。

相続時精算課税制度

60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上の子や孫に対して行う贈与について、累計2,500万円までは贈与税が非課税となる制度です。

ただし、相続発生時にはこれらの財産を相続財産に加えて相続税を計算するため、使い方には注意が必要です。

教育資金の一括贈与の特例

30歳未満の子や孫に対して、1,500万円までの教育資金を一括贈与できる制度です。例えば、学校や塾、習い事の費用などが対象になります。

結婚・子育て資金の一括贈与の特例

20歳以上50歳未満の子や孫に対し、結婚や出産・育児にかかる費用として1,000万円までの贈与が非課税となる特例です(制度には期限があります)。

住宅取得資金の非課税制度

一定の条件を満たした住宅の取得や増改築のために、親や祖父母から資金の援助を受けた場合、最大1,000万円まで贈与税が非課税となる制度です。

 

生前贈与の注意点

贈与契約は「双方の合意」が必要

贈与は贈与者と受贈者の合意が必要な契約です。たとえ、110万円以内の贈与であっても、きちんと書面(贈与契約書)を作成し、贈与の意思を明確にしておくことが大切です。

税務署への申告が必要な場合がある

基礎控除額(110万円)を超える贈与や、特例制度を活用する場合は、贈与を受けた年の翌年2月1日〜3月15日までに贈与税の申告が必要です。

不公平な贈与は「遺留分侵害」になることも

兄弟姉妹の一人にだけ多額の贈与をすると、他の相続人から「遺留分の侵害」としてトラブルになる可能性もあります。従って、生前贈与は、家族との十分な話し合いのもとで進めることがとても重要です。

 

生前贈与を活用した相続対策のポイント

計画的に少額から始める

 毎年の基礎控除を活用し、コツコツ贈与を行うのが節税の王道です。

専門家に相談する

  制度は複雑で、税制改正も頻繁に行われます。司法書士・税理士など専門家のアドバイスを受けながら進めると安心です。

書面で記録を残す

 贈与契約書や振込記録など、証拠を残すことで後のトラブル防止にもつながります。

 

まとめ

生前贈与は、相続税対策として非常に有効な手段です。一方で制度の理解不足や手続きの不備によって思わぬトラブルになることもあります。従って、先を見据えて特例制度を活用しつつ、しっかりと準備を整えたうえで、将来を見据えた財産の引き継ぎを行いましょう。

「何を」「いつ」「誰に」贈与するのか――それぞれのご家庭に合った最適なプランを立てることが、生前贈与成功のカギとなります。相続の仲人 YORISOU はお客様と一緒に「いつかのための安心できる準備」を進めていきたいと思っています。

監修者
不動産事業部
株式会社五右衛門
「相続の仲人・YORISOU」を運営する株式会社五右衛門の、不動産事業部です。相続にまつわる不動産の売却や活用について、豊富な現場経験をもとに、実情に即したご提案を行っています。
売買仲介・買取再販など、お悩みや状況に合わせた対応が可能です。「誰に相談すればいいのかわからない」という段階からでも、お気軽にご相談ください。

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