「まだ先の話…」と思っていませんか?将来に備える、相続税の負担を軽くするポイント

はじめに

ご両親から土地や預貯金などの財産を引き継ぐ際にかかる「相続税」について、どれくらいご存知ですか?
すべての人に相続税が発生するわけではありませんが、「基礎控除」や「生前対策」を行うことで、税負担を軽くすることができます。
相続に対する漠然とした不安を減らすためにも、早めに知っておくことが大切です。

相続税対策は“早め”がカギ

相続税は、ご家族が亡くなったときに、その方が残した財産に対して発生する税金です。
ただし、相続が始まった後ではできることが限られるため、生前に準備しておくことがとても重要です。
特に世田谷区のように地価が高いエリアにお住まいの場合、土地の評価額が思った以上に高くなり、相続税が発生するケースも少なくありません。
今のうちから対策をしておくことで、将来の負担をぐっと軽くできます。

相続税の負担を軽くするために知っておきたい3つの方法

①基礎控除を正しく理解する

「遺産を相続したら必ず税金を支払わないといけない」と勘違いされている方も多いのですが、相続税は財産を相続したら必ずかかるというわけではありません。相続した財産の額から、借金や葬式費用を差し引くなどした後の額が、一定の額(基礎控除額)を上回るときに、相続税がかかります。

まず、相続税の基礎控除を正しく理解しておくことが大切です。


基礎控除額は
3,000万円+(600万円×法定相続人数)で計算します。


例えば「配偶者と子2人」の場合、法定相続人数は3人。

「基礎控除」の額は4,800万円となるので、相続した財産の額が4,800万円以下であれば、相続税はかかりません。相続した財産の額が5,000万円だとすると、差し引いた200万円に相続税がかかる、ということになります。


さらに配偶者控除という、故人の配偶者が相続を受ける際に適用される控除があります。

配偶者が相続した財産に対しては、必要に応じて全額控除され、実質的に相続税が発生しない場合も多くあります。控除を受けるためには、亡くなった日から10ヶ月以内に申告する必要があります。

②「小規模宅地等の特例」を使って土地の評価額を大幅ダウン

地価の高い世田谷区では特に活用したい制度である「小規模宅地等の特例」。

世田谷区のように、狭い土地であっても場所によっては数千万円になるようなエリアに土地がある場合は、小規模宅地等の特例を活用しましょう。


小規模宅地等の特例は、自宅の敷地など一定の要件を満たす土地の場合、評価額を最大80%減額することができます。相続人がその土地を引き続き使用する場合に適用され、これによって配偶者や子どもなど、のこされた家族が自宅に住み続けることができます。

具体的には、故人が住んでいた土地の場合は最大330㎡まで評価額を80%減額、

故人が事業として使っていた土地の場合は、最大400㎡まで評価額を80%減額、

故人がアパートやマンションなど賃貸事業に使用していた土地は最大200㎡まで評価額を50%減額することができます。


ただし「小規模宅地等の特例」を受けるには一定の要件があるほか、自動的に適用されるわけではなく、所轄税務署への申告が必要になります。

相続開始を知った日の翌日から10カ月以内に申告するようにしましょう。

③生前贈与を活用する

存命中に財産を引き継ぐのが生前贈与です。存命中の財産を減らしておけば、相続時の財産にかかる相続税を減らすことができます。

もちろん、存命中であっても財産を受け取った側は贈与税がかかりますが、一定の条件を満たせば控除を受けられたり、贈与税が非課税になる場合があります。


例えば「暦年課税」という方式であれば、

1月1日から12月31日までの1年間に贈与した金額が1人あたり110万円まで非課税になります。

10年続ければ1,100万円が非課税ということになります。


ただし2023年の税制の改正によって、生前贈与加算が3年から7年へと段階的に延長されることになりました。

これまでは、故人が亡くなった日からさかのぼって3年分の贈与された資産も相続財産に含まれていましたが、これが7年分さかのぼることになりました(7年になるのは2031年から。それまでは段階的に延長)。

できるだけ早い段階から生前贈与を検討したほうがよいでしょう。

まとめ:相続税対策は「いつか」ではなく「今から」

相続税の仕組みや、負担を軽減する具体的な方法についてお伝えしました。
「まだ関係ない」と思っている方こそ、早めの準備が肝心です。

相続税や手続きに関して不安がある方は、世田谷区の「相続の仲人・YORISOU」へぜひお気軽にご相談ください。将来への備えは、今の安心につながります。

監修者
副所長 横山 洋昌
深代税理士法人
メッセージ:お客様と仲良く楽しくがモットーです。お客様の得になることを心掛けております。
趣味:バスケットボール、読書、落語

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